僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

そう痛感したのがひとつと、もう一つは、お葬式に参列してくれた上条(かみじょう)晴秋(はるあき)の存在。

ハルは彼女が出来たらしく、二人揃って参列してくれて、うちの親に彼女を紹介していた。

会社にいた派遣の子らしく、大阪にいる彼女の両親にも挨拶済みなんだとか。

「俺が子供のころ、凄くお世話になったばあ様なんだ」

そう言っては隣の彼女と仲睦まじくお参りする姿を、遠目に見ていた。


その光景が近いはずなのに、とても遠くに感じる。

俺を好きでいてくれた「ハル」との別れだった。


すこし寂しい思いはあるけど、悲しくはない。

だって、俺がハルに望んだ未来だ。彼にはみんなから祝福される恋をして欲しかったから。

彼女はとても清楚な印象の可愛らしい子で、二つ下だと言っていた。

この子なら、ハルを幸せにしてくれる。

一目見ただけでそう確信できるくらい、とても可愛らしいお嬢さんだった。


だからさ、ケイも
運命を感じる人と出会えたんなら、それを逃しちゃいけないよ。


困難はあるだろうけど、頑張って欲しかった。

幸せになる方法を、自分たちで見つけて欲しかったんだ。



”別に、お前にフラれたからって、俺の人生になんの影響もねぇ”



前にハルに言われた言葉。
俺もそう思えるような強い心が欲しかった。

< 122 / 231 >

この作品をシェア

pagetop