僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
玄関に二人の靴があった時点で嫌な予感はしていたんだ。
だって、部屋の電気がどの部屋もついてなくて、唯一ついていたのは、俺の寝室のあるベッドの照明だけだったから…
でも、こうやって、紛れもない事実に遭遇して、俺の思考回路は停止してる。
「しおん・・・くん」
「ほの・・・・・・」
ギシ・・・ギシ・・・ギシ・・・ギッ、ギシ・・・
ギッ、ギッ、ギッ、—————
ベッドがきしむ音が早くなって、我に返った。
”ここから出ないと”
二人に気づかれないように、ドアを開けた。
お土産と荷物が入ったスーツケースを静かに持ち上げ音を出さないようにして、部屋から離れた時点でおろしてゴロゴロと引きずって廊下を歩く。
―――――――紫音とほのは、二人だけでセックスしてる。
おれ、抜きで。
『”晴れ”にするのは無理だけど、せめて夜と朝の中間っぽい”紫いろ”にしてやるよ』
嘘つき
『祐くん、大好き!』
嘘つき
『三人で幸せになろう』
嘘つき、嘘つき、嘘つき!
『愛してるぞ』
『大好きだからね』
そんな簡単な言葉に、なにか意味はあったんだろうか?
すべてを知った今、全部が嘘に見えてきた。