僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
仕事は3週間あるらしい。
その後の2週間はプライベートに近い仕事。
トータル1ヵ月ちょいならば、ここを貸すことにした。
「家主追い出すの気が引けるな~………」
「あーごめんなさい。僕も帰りません」
実家に行けないことを思い出した。
俺はフェスに向けて気合を入れたくて、思いっきり男みたいにカットしたんだ。
でもさ、こんなバリバリな男の格好で帰ると―――ご近所の目が・・・・ね。
見たことない若い男が出入りしてるって噂になっちゃう。
父さんは相変わらず仕事に忙しくて、あまり帰らないから余計に浮気説が浮上しちゃうよ。
「あー、よかった。その方がいいよ。血迷って家財道具売っちゃうかもだから」
「そのネタ、好きですね」
「うん、元カノにやられたからね」
「え!マジですか!」
「———うん、マジ」
悪いと思っても、隠しきれない笑いが出てくる
「もう、人生終わったと思ったね、その時は」
「大胆な彼女さんですね」
「新しい男にせっせと貢ぐためなのか、仕事にかまけて相手しなかった腹いせなのか―――今となっちゃどっちもって気がするけどね」
怖そうなのに意外と面白くて
どこか抜けてそうなのに、しっかりもしていて
気怠そうだけど、意外と情熱的な詩安との出会いだった。
それと猫のアップル。
3人の一ヵ月が始まろうとしていた。