僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「だから、俺はもう帰らないよ。二人でそのままお幸せに」
”穂香に「うまくいって良かったね」って伝えてくれますか?”
言いたいけど、おれも二人に誠実だったかって聞かれたら噓になる。
紫音はどこか暗い顔をしている。
なんで?穂香が可愛いんでしょ?
おねだり上手だって上機嫌だったじゃん。
「———お前は…これからどうすんの?」
「・・・いや、どうするもこうするも、生きていくよ。それしかないでしょ?」
「大丈夫なのかよ…また夜になったら――」
「それを紫音に心配されたくない!…同情なんてまっぴらだよ!」
「・・・・・・・・・・・そうか」
おれにだって、見せたくない弱さとプライドがある。
君たちが”他人”に戻ってしまった今なら尚更ね。
「じゃあ荷物、どうする?」
俺は怒りで正気を失いそうなのに、落ち着いている紫音が憎い。
だから、こっちも精いっぱい落ちつこうと努力する。
「大事なものだけ取りに行っていい?」
ノートパソコンとか置いてきたから、凄く不便だったんだ。
「ん、わかった。じゃあ取りに来るとき、ほのにも話するか?」
「———何を話すのさ…。紫音みたいに冷静に話なんて出来ないよ」
きっと彼女を責めるに違いない。よくもこの世界を壊してくれたなと。
「————そういうところ、なんだよな」
「・・・何?」