僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
顔つきは紫音と似ているけど、不意に見せる素直な表情は彼とは違う。
純真無垢で気持ちに真っ直ぐな詩安さん
透き通った綺麗な物に触れるようだった
「仕事は順調でしたか?」
「うん、なんとかね」
「そうでしたか…あとはプライベートに近い仕事って言ってましたっけ?」
「うん、北海道のね、恩師が二号店を考えているから、俺をそこにって話だったんだけどさ」
北海道かぁ―――
でも、イタリアよりは近いかな‥‥
でも偶然を装って訪ねに行くには遠すぎる。
どっちにしても、もうこれっきりかもしれないな
今回の仕事はイレギュラーだったみたいだったし。
普段日本に来て仕事をすることはないっていっていたもんなぁ。
「でもすぐ帰ってくる」
「え?断るんですか?」
「うん、やっぱり気が変わったし、他にやらなきゃいけないことあるからさ」
って事はイタリアに帰っちゃうんだな
また、俺はこの部屋で一人になるんだ
「それでね、少しだけ北海道で仕事しにいくから、アップルをここに置いてってもいいかな?」
「いいですよ。どうせ職安通いですし」
「あ、それ、ちょっと待ってもらってもいい?」
「・・・・?なにをですか?」
「職探し」
「ーーーーーは?」
「あ、うん―――やっぱりまだ秘密です」