僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「———じゃあ、島くんは弟から俺の評価を日々聞いてて、俺を信じてくれたわけだ」
「そうですね、だから家に泊めるのも抵抗ありませんでしたよ」
「そっか、———感謝しないとな、紫音に…」
「——なんか、兄弟って羨ましいです。俺一人っ子なんで」
「そう?いい時もあるけどムカつくことも多いよ?紫音は冷静に解析するからホント腹立つ」
確かに俺の心情も楽しんでいたし、待ちゆく人たちも観察するの好きだったよな。
「まあ、発つ前に一言謝っておくわ。島くんは?・・・一緒に行く?」
「いえ、話す事ないんで、発つ前に実家に行ってます。二人に伝えて下さい『ありがとうございました』って」
「———ん、わかったよ」
日本を発つ前に実家に赴いた。
出発は夜だったから、日が暮れてから足を運ぶ。
「話が急すぎなんだよな」
父さんは相変わらず渋っていた。
まあ、当たり前だよね。
「就労ビザとったの?」
「ううん、とりあえず観光で入ってそれから仕事を決めるんだ。知り合いに働く口を紹介してもらうよ」
「んな突拍子もない―――言葉も英語圏じゃないんだぞ?」
「うん、わかってる。———でも、行ってみたいんだよ」
「お前には驚かされることばっかりだな」
「ごめんなさい。でももう決めました。色々お世話してくれたのに、本当に申し訳ありませんでした」
心配そうに見つめる両親に頭を下げる。
いつまでたっても、親不孝者かもな。
でも―――親を安心させるために生きてても意味がない。
自分を偽って社会に溶け込こんでも息苦しいだけだ。
やっぱり容易なことじゃなかったんだ。
両親に挨拶を済ませ、仏壇の祖父母にも線香をあげて出国の報告をする。
「じゃあこれから発ちます。落ち着いたらお手紙書きますので」
「うん―――頑張ってね祐子」
「・・・・・・まあ、しっかりやれ」
「はい」