僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
無事にチケットも取れて、迎えたライブ当日。
詩安とタクシーに乗り、会場へ向かった。
レトロな劇場で今にもオペラとかが始まりそうな会場なのに、普通にライブハウス扱いしているのがヨーロッパらしいと思う。
日本じゃありえないよね。
例えば、能とか歌舞伎とかさ
歴史ある建物でミュージシャンがガチャガチャとライブをするなんて日常はない。
会場に着いたらライブが始まってはいるけど、お目当てのバンドじゃなかった。
ワンマンじゃないから、前座が4つくらいあるんだ。
20時くらいに来たけど、お目当てのバンドはまだ始まっていなかった。
前座のバンドを見ていて、自然と目がいくのは、照明、スタッフの動き、PA環境…。
専門的な学校まで通わせてもらったのに、生かされることなく終わっちゃったな…。
「ほら、島くん」
「——ありがとう、お金あとで払うね」
「いいよ、将来のパートナーに貰っても意味ねーし」
詩安は最近俺との将来をほのめかす。
俺もそれがまんざら嫌じゃない。