僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「アップル―!元気だったかー!!ごめんなぁ」
アップルは怒ってるのか、許すのが悔しいのか、ゴロゴロのどを鳴らしながらとても動きがせわしなかった。
「毎日毎日ドアの前でおっちゃんこしてたよ?いろんな部屋探してミャーミャー泣いてた」
「(おっちゃんこってかわいい響き…)ごめんねアップル…。あ、そうだ、アップル?お土産あるよ?」
俺は引き出物と一緒に渡された紙袋に入ってた、ミサンガをアップルの首につけた。
「似合うよ、悪いものから守ってくれるんだって。よかったなぁ」
みゃって小さく返事して、その日はなかなか俺から離れてくれなかった。
その日の夕方
詩安が食事に誘ってくれて出向いたら、10名ほどの先客がいて俺を拍手で迎えてくれた。
俺が働くことになったライブハウスの同僚たちや、詩安の顧客のマールさん、日本料理店の元同僚たちや、詩安が働く美容室の先生。
「ミャ~~~」
そこにペットの入室も許されたアップルもいた。
帰国を労ってもらい、お土産話に花が咲く。
なかには日本の結婚式を動画サイトで見た人もいて、着物が凄く良かったと話してる人もいた。
「俺たちも、二人で袴着て結婚式したいな」
「ん~~そう?詩安にはタキシードが似合うと思うけど」
「じゃあ島くんが袴で俺がタキシード着る?」
「めちゃくちゃだね、場所をわきまえて服装選ぼうよ」
「じゃあ、何回もやればいいな、教会と神社と――寺でもいいけど」
「えー、なんかいもするの?一回でいいじゃない」
日本語で言い合ってたら、痴話喧嘩するなって冷やかされる。
食事が進むとお酒も程よく体にまわってきて、ふわふわな気分になってきた。
「島くん酔ったでしょ?」
「……なんでわかるの?」
「だって、アップルと俺にしかしない顔してるもん」
「フフン、バレた?――フライト疲れもあったし、すぐ酔いがまわっちゃった」
「————ーーー」
詩安が店の人に何かを口早に話していた。
早すぎるイタリア語だから何言ってるか分からなかったけど・・・。
そのうち、お店の人がホールケーキを持ってきてくれて、みんなのテンションが一気に上がって拍手していた。
さすが、美味の都市ナポリがある国―――みんな甘いの好きなんだね。