僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
視線をスクリーンに映したけど、悲惨的なバイオリンの音と戦闘シーンが繰り広げられるだけで、話の内容はわからなかった。
「まったぁ、悲しそうな顔してんな」
いつの間にか起きていた先輩は、俺の顔を横目で見てから腕時計に目を落としていた。
「もう、5時だって。何時起き?」
「11時ですね」
「そっか、じゃあ帰って少し寝れるかもな。帰るか」
「はい」
朝霧がさめない街並みを歩き、駅へと向かう。
途中まで一緒にのって、路線が変わる駅でお互いに踏み出そうとしたときに、声をかけた。
「先輩、今日はありがとうございました」
おかげて、孤独な夜が一つ消えた。
「集合かけたのこっちだし」
男前に笑って違うホームに歩いていく。
そんな先輩の背中がカッコいいと思った。
それは、男としてのあこがれなのか
それとも、恋なのか・・・・
やはり、どっちかわからない。
「めんどくせ、俺」
今が夜じゃなくてよかったと思う。
深く考えすぎて迷宮入りすることがない。
これから、明るくなる朝でよかった。
周りは、今日という一日が始まる人たちで段々とあふれてくる。
自分はそれから逆光のような人物になった気持ちで、反対側の道へと歩みだしていた。