僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「おいおーい、彼女といちゃつくなよ”ゆうし”くん。会長がこれ、運んでくれってよ」
「はい、今行きます。じゃあね、穂香ちゃん」
「あ・・はい」
笑顔を残して仕事に取り掛かろうとした時だった。
後ろにいた友達が彼女の背中を押したのは。
?
俺が不思議そうな顔をしていると、顔を真っ赤にした穂香ちゃんが意をけしたように声を張り上げる。
「あの!――――ゆうし、さん」
「―――――はい?」
「・・・・・・・・」
固まっちゃった・・・。
「どうしたの?」
優しく問いかければ、泣きそうな顔をする。
友達が背中を擦ったら、グッと涙を堪えて俺の目を真っ直ぐに見てきた。
”ドクンっ”
その綺麗な目に、吸い込まれる。
「今日、お仕事が終わったら、――聞いてもらいたいことが、あります」
「聞いてもらいたい事?」
「―――はい・・・。フェスが終わるのは18時ですよね?」
「うん」
「では―――あの、片付けとかあるでしょうから・・・、ゆっくりとしてからでいいんです、あの、あの・・・」
「うん?落ち着いて?」
再び彼女の目線が下がっていく。
「この先にある”ル・シエル”って喫茶店で待っています。来ていただけませんか?」
この手の話って・・・。
一つしかないよね。
「あのさ・・・」
断りを入れようと思ったけど、彼女はその三文字を聞いただけで悲しそうな顔をする。
「あのさ・・・」
俺、男のふりした女だよ?
そう言わなくちゃいけないって、分かってるけど・・・なんだか、可哀そうで先がいえなくなった。