僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
episode、3 穂香と紫音先輩
バイトが休みの日は、ほのちゃんと会うことが多くなった。
クリスマス時期に差し掛かって、吹奏楽強豪高校のクリスマスコンサートやライブイベントをチェックしたり、時間があれば一緒に行く約束もした。
紫音先輩は就活追い込みで忙しいから、なおさら彼女と過ごす時間が多くなったんだ。
「友達は?」って聞けば、この時期になると彼氏が出来だして、寂しい年末になるみたいだった。
乗り遅れましたって笑顔になる彼女。
そこにどういった心理が働いてるのか、深く考えないようにしていた。
恋心抜きで過ごせる時間は楽しいことばかりだった。
昔、女友達と遊びに行ってた感覚と近いようで、違う部分もある。
買いもしないのに、どっちがいいか真剣に悩んだり、話に花がさいて脱線しまくって、脳内迷子になって違うポイントに不時着したり、美味しいもの、可愛いもの、綺麗なもの、不思議な物に歓喜の声を上げる。
女子高生してた時は、そんな友だち達に合せるのがダルくて苦痛だった時もあるけど、不思議と彼女にはそんな気分になることはなかった。
なにより、彼女の柔らかい言葉遣いに癒される
それに、感情がくるくる変わって、面白い。
俺のいままでの悩み事なんて、吹っ飛んでいくみたいだった。
彼女は自分の事をよく話してくれた。
家族仲は良くて、二個下に高2のしっかり者の妹がいること。
最近はなくなったけど、昔はよく両親と妹と出かけていたこと。
実家暮らしで大学一年生。
両親から大事に育てられてきたことは、その様子を聞くだけでも伝わってきた。
途端に自分の両親が不憫に見えて、心が痛む。
俺の両親だって、俺の事をきちんと育ててくれたのに、自分が親不孝者になった気持ちになってしまう。