僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~

さて、これからどうしようか?

実家にも帰れないしさ、誰とも馴れ合わない一人生活が始まるんだろうな。

でも、あの頃とは違うよな?

あの、ケイの時とは違うはずだ。

傷が浅くてよかったよ。

それに、もう成人したんだし、大丈夫だきっと。

俺も今年で3年になるし。
もうちょい、将来の事考えようか。

これからの活動の事を考えて、今からしなきゃいけないことは、まず見た目から変える事かな。

高校生の時まで戻る気はないけど、ギリ女に見えるまで容姿を戻すことにしよう。

刈り上げに近い髪形も、少し伸ばさなくちゃいけない。

せめて、女性用のパンツスーツが違和感なく着こなせるショートまで髪を伸ばそう。

もう二度としたくないなんて、言ってられない。

どこまで受け入れられるかわからないけど、自分の性別も含めて活動の視野を広げよう。


男でも女でも就職に備えた生活ってのはやってくるんだ。
だから、綺麗に生え揃えたひげを綺麗にそり落とす。

鏡に向かってそれから始めてみたけど、思ったより涙が出てきた。

もうこうやって、男になった気分を味わうことは出来ないんだなって思ったら、泣けてきたんだ。

大学に入ってから、自分の性別の違和感を感じることなく過ごせたけど、もう、今日でおしまい。


小さな頃からの憧れを、思いきり味わえた2年間。


これからの二年間は、それを封印することに決めた。

すべては就活のため

企業説明会などで変に浮いたり、偏見の目で見られないため。

そうして、自分の将来を不利にしないため。


世の中には、それと戦って自分の居場所を手に入れている人がいるのは知っている。


でも、俺にはそこに立ち向かう勇気はなかった。

特別優秀なわけじゃないし、器量だってそんなに良くない。

だから自分が妥協しながら社会に溶け込むしかないと思ったんだ。


幸いなことに、身体は何もしていない。
産まれたままの姿だ。

元のボーイッシュな女の子になるため、体を戻そうって決めたんだ。

< 42 / 231 >

この作品をシェア

pagetop