僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
episode、4 心配してくれる人
自分を偽る勇気
時々会う穂香には、スッキリしましたねって言われた。
就活も始まりますしねと、彼女の中では何も違和感がないようだった。
男っぽい髪形もやめて、左右対称なショートにして、髪の毛も黒に近いブラウンにしたんだ。
「ワンコみたいだな」
会社勤めが始まった紫音先輩にもからかわれる。
「うん、普通にかわいいよな。俺はギリあり」
バイト先の先輩方にも感想をいただいた。
俺はそのたびに、よくわからないその感想を聞いては「お慰めありがとうございます」と返事をしていた。
一ついいこともあった。
実家に帰れることだ。
あまり料理が得意じゃなかった俺は、簡単なもので済ませてしまって、見事に痩せてしまったから、ここぞとばかりに帰っては、母さんの料理にありついていた。
「あんた、晴君からの連絡来てなかったの?」
「うん?ハル?きてないよ」
だって、二年前、こんないい男振って後悔するぞって言われたきりだ。
こちらからはとても連絡出来る立場じゃないし、相手もしてこなかった。
「そう?変ねぇ・・・、よく、祐子に連絡しても、無視されるんだ―ってボヤいてたわよ」
それを聞いてお茶を噴き出した。
「ハル、ここに来てるの?」
「うん、来てるわよ。あなたがいないからあまり長居はしていかないけど」
そうかぁ、ハルも気にかけててくれてたんだ。