僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
部屋は、きちんと掃除されていて、俺が今住んでいるアパートよりも全然きれいだった。
何もかもそのまま。
ベットの布団はちゃんと手入れされてて、全然埃っぽくなかったし、本棚の漫画本だって埃もかぶらずにきちんと並べられていた。
一瞬クローゼットの奥に押し込んだ『テキスト』の存在を思い出して、それ以上進みこむのをやめる。
「ハァ―――…せつな」
ケイとの事、俺の中ではどうなっているんだろう?
あれから、偶然に会ったとか一度もなかった。
また、偶然にあったりしたら、俺は・・またすきになるのかな?
やり直したいとか、思うんだろうか?
「祐子――⁉」
「はーい⁉」
「お父さんねー早く帰ってくるから、夕飯すき焼きしようってー!母さん買って来るから――!留守番お願いねー!」
「うーん!行ってらっしゃーい!」
ナイスタイミング、お母さん。
また変なことを考えて、無駄に闇落ちするところだった。
お腹いっぱいになったし、今日と明日は何も予定がないし、少し寝よう。
そう思って目をつぶったら、少し玄関が騒がしくなって、どかどかとよく知った足音が聞こえてきた。
そうしてノックもなしに勢いよく開くドア。
そこにはやっぱり、不機嫌な顔をした奴がいる。
「・・・怒って帰ったんじゃなかったの?」
「ああ、すっげーむかついたよ。散々心配させやがって」
「・・・連絡くれたらよかったのに」
「~~~んなことっ!出来る訳ねーだろ!———フッたのにしつけ―奴って思われんのやだし!」
「そんなこと、思わないよ」
そっか、そんな事をきにしてたんだ。
見た目は変わっても、そういうところは変わってないの、なんだかホッとするよ。
俺も見た目が変わっていた時に会うのは気が引けたから、ちょうど良かったのかもしれない。
男みたいになってる時に会う機会がなくてよかったなって。