僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
「先輩はなんでそんな事思うんですか?」
何となく、気になって聞いてみた。
「むかし、ガキの頃よく思ってたから」
「一夫多妻制についてですか?」
「いや、そんな具体的じゃなくてさ、俺の両親は好きあってるけど同じくらい仕事が好きな人達だったから、寂しい思いもしたんだ。でも、兄貴と親には心配かけたくないって、平気なふりしてたけど、本音はぼんやりと、もう一人、俺たちに懇親的な親が居ればなって思ってた」
「・・・・・・・」「・・・・・・・」
「聞いといて無視すんなよ」
「いや、何を返せばいいかわからなくて。すみません」
「・・・小さな頃からのトラウマがあったんですね。すみません、私はまたいつものように思い付きで突拍子もないことを、と思ってしまいました」
「そんなに、深刻になられても困るんだけどさ…。要はこの世の中助け合いが必要だって事だよ」
父親の収入と、母親がパートに入って、その給料でうちは十分にやって来れた。
大学資金も出してもらってるし、小さいころから、学校の行事や参観日なんかも欠かさず来てくれた両親。
当たり前だと思っていたけど、俺は大分幸せだったんだと思い知った。
「確かに、子育てに重点を置いた時に、いい方法かも知れませんね。三人のうち誰かがパートナーへの【独占的な愛】を諦められたら成立する話かも知れません」
「いいよ、ほのちゃん、無理しなくて」
「いいえ、頭から否定しても、活路は開けませんから」
え?
「ほのは俺たちに当てはめて考えてるの?」
「え?そういう話だったんじゃないんですか?」
紫音先輩と噴き出して笑った。
「そんな覚悟があったんだ。ユウこれはもう三人でセックスするしかないな」
「勘弁してくださいよ、なんでそこまで話が飛ぶんですか」
「本当ですよ、ここ、親子連れがよく来る公園なんですから、さっきからですけど、卑猥な言葉を使わないでくださいっっ」
「処女でもないのに照れちゃって」
「だからっっ、そうゆうのやめて下さいよ~っっ」
顔を真っ赤にして恥ずかしがるほのを、それからもからかっては笑っていた紫音先輩。
そんな二人をよそに空を見上げて、吸い込まれそうなほどの澄んだ空色を見つめていた。
三人でベッドで過ごすのはちょっと抵抗があるけど、三人で家庭を築くとか、いいなと思った。
そうしたら、平等に愛せる気がする。
どちらかを悲しませることをしなくてもいいし、俺が二人から離れる決断もしなくていいんだ。
何だかそれって、とてもいいことのように思える。
でも、子供を望むとしたら、誰が産むんだろう?