僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
俺かほのが母親になるってこと?
俺、母親になれるかな?
そう言う行為は出来ると思うけど、人の親になるのが実感わかない。
俺が母親とかさ、ちゃんと出来るのかな‥‥
でも、じゃあ、不安ならほのに産んでもらえばいいのか
え、でも、どうやって?
どうやってほのは身籠るの?
紫音先輩とほのがセックスするって事?
なんかそれって、「おれがよけいかも」
小さな呟きは二人に届いたかわからない。
けど、二人とも俺の方を向いていた。
「なんだユウ、また難しい顔して」
「ほんとだ、少し目を離しただけなのに、油断もスキもないね」
そう言って笑い合う二人を横目で見ながら、目を瞑った。
そのまま無言を通せば、二人も同じように横になって静かになった。
先にほのが手を繋いできて、その後に紫音先輩が反対の手を繋いでくる。
二人の手を両手に握る。
ほのは暖かくて、紫音先輩は少し冷たい。
まるで俺が真ん中で二人の熱を調整して伝える、電線のトランス(変圧器)みたいな役割だな。
この二人って、なんかさ・・・
関係が変わりつつあるんだけど、本人たちにその実感はないのかな?
皮肉な心が久々に顔を出しそうになるけど、今度ばかりは俺の勘違いじゃない気がする。
おれは、このまま何も知らないふりをしてていいんだろうか?
知らないふりを終わらせれば、この二人を失いそうで恐かった。
俺は焦っていたんだと思う。
本来の目的なんてとっくに忘れてしまって、どうやったら二人は気づかないままでいられるだろうって、考えるようになった。
「来月の第三日曜日空いてますか?私も紫音さんもお休みなんですけど」
最近、ほのはバイトを始めたらしく、働きだして忙しくなってきた先輩と俺の時間が段々と合わなくなってきた。
だから、会える回数も少なくなってきていた。
「その日はバイトがあるんだ、ごめん、無理かも」
嘘は言ってない、本当にライブハウスでバイトがある。
「そうなんですか?じゃあ、残念ですけど、断りますね」
「うん、おれが紫音先輩に謝りのメール入れとくよ?」
「あ、違くて、そうじゃないんです。イベントのチケットが手に入りそうだったから、三人でどうかなって思っていたんです」
「あ…、そうなんだ、ごめんね」
「いいですよぉ、知り合いなので、断っておきますね」
「そうか、よかった」
「はい、じゃあ、私これからバイトなので、もう行きますね」
「うん、いってらっしゃい」
「祐くんも、お勉強、頑張って」
「うん、ありがとう」
図書館のカフェスペースから、ほのは笑顔を残しながら出ていった。
その姿を見送って、忘れないうちにと先輩にも謝罪のメールを入れる。
”了解——————っす(=_=)”
ってすぐ返事が来ていた。