僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
ケイが去った後もそのまま座り続けていたけど、夕暮れがいつの間にやら終わっていた。

薄暗い街並みを歩いて、帰るために駅へと向かっていた。

楽しい思い出ばかり詰まっていた場所だったけど、景色を見ると胸が痛む。

もう、この場所にケイはいないんだ。

絶望の中にも、どこかに冷静さが残っていて、家へと問題なく帰ってきた。

「あらぁ、祐子おかえりぃ」

母さんの声掛けにも返事をしないまま、階段を駆け上がり部屋に入る。

そうしたら、昨日の夜から出しっぱなしだったテキストブックに目がいく。

語学勉強に使っていたテキストを見て悲しくなる。

『将来は性別にとらわれない国に、一緒に行こうか?』

ケイとそんな夢を掲げて、その国で困らないように勉強してたけど、もう必要ない。


でも、捨てるっていう選択肢は出来なくて、目の届かない場所へとしまい込んだ。


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