僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
一度知ってしまった温もりを手放すのは辛い。

それを思い知った高2のあのころ。


まだ、身体の関係がなかっただけ、マシかもしれない。

でも
二人が握ってくれる手のぬくもりは忘れられないな。

まぶしくって侘しい昼間はほのがいて、暗く光がちりばめられた夜には紫音先輩がいてくれた。


このまま、連絡を取らずにいたら、二人は・・・結ばれる・・かも?

これからの二人の事を思えば、そうするのがいいように思える。

晴れて新たな恋人が誕生する。二人ならちゃんと一緒に未来を築いていけるんだ。
こんな俺が引き留めていい人たちじゃなかったんだ‥‥。

それが、俺にできる最良のこと・・・かも知れないな。


そこで考えることを辞めればいいのにさ…。
眠れない俺の頭の中は勝手に動き続ける。


穂香は…
元カレが自分の理想の型にはめたがる人で、自由がなくて嫌だったと言っていた。

紫音先輩は…
自分に異様に執着してくる女にこりごりだし、自分がムリっぽいって分かれば、あっさりと離れていく温度がない女も嫌だとも聞いたことがある。

でも、結局それってさ?
お互い異性に幻滅してただけだろ?
だから、気弱で中間的な俺に、異性たちに足りない部分を求めてたんだろ?

二人にとっての俺は、異性に「こうあって欲しかった」っていう欲求を果たしたかっただけなんじゃないか?


〖祐くんは優しいね〗
〖ユウは綺麗な目をしてるよな〗

「あー、だめだ」

考えれば考えるほど卑屈になってく自分が嫌いになる。

そもそも…そもそもさ
生きていくのに、愛は必要?

そんなもん、必要ないよ
何を必死になって求めていたんだろう。

遠くにあった幸せの形

それが、幻のように消えたとしても、大丈夫だって。

ただ、元に戻っただけだ。

俺はこうやって、自分に言い聞かせて、来るかもしれない未来に備えていた。
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