僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
episode、6 いつでも救ってくれる人
憧れの人
「またかよ、勘弁しろよな」
堕落しきった生活をしてたら、それに勘づいて、引き上げてくれるのは
「めし、作るから食えよ」
やっぱり、ハルだった。
「作れないでしょ?」
「お前よりマシだから」
「…何作るの?」
「おでん」
「・・・それ、あっためるだけじゃん」
「悪いか?それすらもしないで、痩せてるお前に言われたくねーよな」
おでんの他に買ってきたサンドウィッチやサラダ巻き、だし巻き卵、ポテトサラダなんかもテーブルに並べてくれた。
「なんか、統一感ないね。おでんにサンドウィッチって」
「うっせー、文句言うな、食うぞ」
「…うん」
でも、全部俺の好物だった。
晴がこのアパートに来るのは初めてで、たぶん母さんから聞いたんだろと聞こうとしたら
「いいから、黙って食え」と一喝された。
黙々と食べながらも、ハルとこの場所で二人向かい合って食べるのは不思議な感じがした。
小さなテーブルに並べられた惣菜たちは、静かになくなっていく。
「ごちそう様」
「もう、食えねぇの?」
「うん、食えねぇ」
ハルの口の悪さを真似したら、頭を小突かれたけど
『女なんだから、食えねぇとかいうな』っていつも言いそうな言葉は出てこなかった。
それどころか、いつもの説教もなし。
家にあるレトロなゲームを持ってきたみたいで、それをテレビに繋げては一緒に対戦したり、ロープレをプレイしている画面を見つめたりしていた。