僕らの恋愛事情【完】 ~S・S更新中~
自分を保てる場所
ケイと初めて出会ったのは中2の時。
転校生だった。
顔が小さくて、女の子みたいに可愛いいなって思ったのが第一印象。
なぜか俺はケイから目が離せなくなったんだ。
自分の性別に違和感はあった。
心は男なんだって中学に入ってから自覚してたから、初恋は女の子なんだろうって予想していた。
いつもワラワラと遊んでいる幼馴染たちにはそんな感情を持ったことがなかったけど、いつかそんな場面に直面しちゃうんだろうなって思ってた。
だって、枕を女の子に仮定してエッチの練習や、愛撫のイメトレも他の男子と同じように自然にしてたから。
ケイを見て男子にも、好意を抱くんだなって不思議だった。
いつも一人でいるし、少し気にかかって話しけるようになった。
とっつきにくい印象があったけど、普通に話してくれてた。
「ごめん、苦手なんだ。人と関わるの」
「そうなんだ、悪い」
ケイを自分らの輪の中にいれようとしたけど、なんとなく断られた。
自分から話題に入って行くのが苦手なケイ。
いつも外を見て時間を潰している彼が、何を思って過ごしてるのか知りたかった。
ずっと教室にいるみたいだし、校庭で遊ぶ友達たちに断りを入れて纏わりつくようになった。
そのうち、会話が増えて笑顔を浮かべるようになってくれたんだ。
今まで見たことない柔らかい表情から目が離せず放心してしまった俺。
ケイのその笑顔をもっと見たいって思った。
もうその時からケイに堕ちていたんだと思う。
でも、中学の時も自分の性の違和感を隠しながら生きていた俺は、その恋は浮かばれないだろうと諦めていた。
おれみたいに男っぽい中途半端な女なんかさ、誰が好きになるっていうんだよって。
あの頃はそればかり自分に言い聞かせていたよな。