エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
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「これだけか?」
「うん、一応。また必要なものは、家から送ってくれるって」
朔が身体の前で抱えた段ボールを綺麗に掃除された部屋に運んでくれる。私はただそれを見つめるばかり。
あの、朝一番突拍子もない朔の発言に私は一瞬夢かと思った。そうか、夢。それならまだこの展開が説明できる。萌の結婚式で刺激されたのかな。そう思っていたら父母がずいっと前に踏み出した。
「ここ、こちらこそふつつかな娘ですが!」
「どうぞどうぞもらってください!朔くんなら安心!」
「そうですか。よかった」
両親に挟まれた朔が一文字だった口角を少し上げる。
あれ、これ夢だよね?
なかなか醒めないし、放っておくにはだんだんまずい気がしてくる。
「ちょっと待って。頭が追いつかない」