エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
「そうだな。一般的な事例でいえば、どっちかに好きな人ができたり、付き合う人間が出てきたり」
「え!?」
「俺たちの場合、性格上他にパートナーができたら、この生活に罪悪感なり生まれそうだし。その時がこの契約が終わるという可能性のほうが大きい」
「ああ、まぁそうか」
性格はお互いをよく知っている。小さい時はお風呂に一緒に入って同じ布団で寝っ転がっていたのだ。得手不得手までよく知っている。
大人になってからついた癖がよほど受け入れられない限りは離婚原因にはなりにくい。となると、やはり、朔のいうとおりどちらかに相手ができ、婚姻スタイルを続けていく意味がなくなった場合のほうが解消理由に考えられる。
「ここらへんももう少し詰めて決めておくか。俺は交際も特に制限はしない。ただこれも一応報告しよう。将来的にどうするかも考えないといけなくなるし」
「私は……ないと思うけど、朔はありそうだな」
「俺もないよ。もうこれ以上気持ちが盛り上がることは今後ないだろうしな」
朔の顔がちょっと切なげというか、諦観的というか。本当に恋愛に対してドライなんだなと思った。
まぁ、私に偽装結婚持ち掛けるくらいだからそうなるか。
お互い恋愛というより、『結婚』の対外的な効力を求めているのなら、ある意味仲間として、平和な共同生活を送れそうだ。
「あ、離婚の場合、財産分与は折半でいいだろ?」
「え、でも、それじゃあ朔が損してるよ」
「なんで?俺に付き合っていろいろ負担もあるし、バイト代も込みだと思って、もらえるもんはもらっとけよ」
「えー」
「欲ないな。っていうか、基本的には離婚はしない方向でお互い努力しよう。言いたいことは我慢せずな」
「うん」
話しているうちにだんだんと肩の力が抜けてくる。
朔とは十年以上ブランクがあるけど、話していると昔とあまり変わっていなくて安心してくる。他の男の人だと行動が読めず、ビクビクしっぱなしになるところだ。共同生活を送るのが本当に朔でよかった。
その時、テーブル脇に置いていたスマホが鳴った。ディスプレイをひっくり返していたスマホを手に取る。
「あ、お母さんからだ」
「出れば」
朔に促されて、私は通話ボタンをタップし耳に当てる。
「え!?」
「俺たちの場合、性格上他にパートナーができたら、この生活に罪悪感なり生まれそうだし。その時がこの契約が終わるという可能性のほうが大きい」
「ああ、まぁそうか」
性格はお互いをよく知っている。小さい時はお風呂に一緒に入って同じ布団で寝っ転がっていたのだ。得手不得手までよく知っている。
大人になってからついた癖がよほど受け入れられない限りは離婚原因にはなりにくい。となると、やはり、朔のいうとおりどちらかに相手ができ、婚姻スタイルを続けていく意味がなくなった場合のほうが解消理由に考えられる。
「ここらへんももう少し詰めて決めておくか。俺は交際も特に制限はしない。ただこれも一応報告しよう。将来的にどうするかも考えないといけなくなるし」
「私は……ないと思うけど、朔はありそうだな」
「俺もないよ。もうこれ以上気持ちが盛り上がることは今後ないだろうしな」
朔の顔がちょっと切なげというか、諦観的というか。本当に恋愛に対してドライなんだなと思った。
まぁ、私に偽装結婚持ち掛けるくらいだからそうなるか。
お互い恋愛というより、『結婚』の対外的な効力を求めているのなら、ある意味仲間として、平和な共同生活を送れそうだ。
「あ、離婚の場合、財産分与は折半でいいだろ?」
「え、でも、それじゃあ朔が損してるよ」
「なんで?俺に付き合っていろいろ負担もあるし、バイト代も込みだと思って、もらえるもんはもらっとけよ」
「えー」
「欲ないな。っていうか、基本的には離婚はしない方向でお互い努力しよう。言いたいことは我慢せずな」
「うん」
話しているうちにだんだんと肩の力が抜けてくる。
朔とは十年以上ブランクがあるけど、話していると昔とあまり変わっていなくて安心してくる。他の男の人だと行動が読めず、ビクビクしっぱなしになるところだ。共同生活を送るのが本当に朔でよかった。
その時、テーブル脇に置いていたスマホが鳴った。ディスプレイをひっくり返していたスマホを手に取る。
「あ、お母さんからだ」
「出れば」
朔に促されて、私は通話ボタンをタップし耳に当てる。