エリート弁護士は契約妻と愛を交わすまで諦めない
京子さんの瞳が潤みを帯びる。私は、泣かせるほど胸に刺さる話をしたという自覚もなかったから焦った。
「あ、あの京子さ……」
「私、もうひとつ後悔があってね」
京子さんが目を閉じて微笑む。慌てていた私ははたと動きを止めた。
「私たち夫婦は我が強くて仲がよいとは言えなくて、家にいても朔には寂しい思いをさせてばかりだった。でも、朔は年に一度すごく楽しみにしていたことがあって」
「楽しみ……?」
「そう、夏休みよ。あなたに会えるでしょ?あの子ったら、夏休みというよりそれが楽しみで仕方なくて、何日も前から準備してね。『ゆずちゃんとこれで遊ぶ』っておもちゃをたくさんリュックに詰めて」
思い出し笑いを浮かべる京子さんは今まで見た中で一番『お母さん』の顔をしている。
「アメリカに朔を連れていってから、見るからに元気がなくてね。あなたと引き離したことずっと後悔していたわ」
優しい母の顔に悲しみの色が広がっていく。彼女は震える手でテーブルの上の私の手をぎゅっと握る。
「離れ離れにして、ごめんなさい」
俯いてしまって表情は見えない。でも、声がか細く、濡れている。泣くほど、ずっと彼女の胸の中に居座り、悔やんできたことなのだろう。
「一度離れてしまいましたが、こうやってまた出会えましたから」
京子さんの手を握り返す。彼女が顔を上げる。私は盛大に笑顔を浮かべた。
「私、朔のこと幸せにします。だから、京子さんも幸せになってください」
京子さんの濡れた目尻から雫が落ちる。でも、すぐ満面の笑みを浮かべてくれた。
「あ、あの京子さ……」
「私、もうひとつ後悔があってね」
京子さんが目を閉じて微笑む。慌てていた私ははたと動きを止めた。
「私たち夫婦は我が強くて仲がよいとは言えなくて、家にいても朔には寂しい思いをさせてばかりだった。でも、朔は年に一度すごく楽しみにしていたことがあって」
「楽しみ……?」
「そう、夏休みよ。あなたに会えるでしょ?あの子ったら、夏休みというよりそれが楽しみで仕方なくて、何日も前から準備してね。『ゆずちゃんとこれで遊ぶ』っておもちゃをたくさんリュックに詰めて」
思い出し笑いを浮かべる京子さんは今まで見た中で一番『お母さん』の顔をしている。
「アメリカに朔を連れていってから、見るからに元気がなくてね。あなたと引き離したことずっと後悔していたわ」
優しい母の顔に悲しみの色が広がっていく。彼女は震える手でテーブルの上の私の手をぎゅっと握る。
「離れ離れにして、ごめんなさい」
俯いてしまって表情は見えない。でも、声がか細く、濡れている。泣くほど、ずっと彼女の胸の中に居座り、悔やんできたことなのだろう。
「一度離れてしまいましたが、こうやってまた出会えましたから」
京子さんの手を握り返す。彼女が顔を上げる。私は盛大に笑顔を浮かべた。
「私、朔のこと幸せにします。だから、京子さんも幸せになってください」
京子さんの濡れた目尻から雫が落ちる。でも、すぐ満面の笑みを浮かべてくれた。