客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
出会い

どん底からの光

 友人の一言で、私はどん底に落とされた。

「慎吾くんが別の女の人と一緒にいるのを見たの。黙ってるのは良くないと思った」
「私はまだ相手が誰かもわからないのに、言うのは早いって言ったんだけど……」

 美波(みなみ)がはっきり言った隣で、弥生(やよい)はおどおどしながら美波をなだめている。

「だって友達と腕組むなんておかしくない?」
「そういう人だっているよ、きっと」

 人の価値観とは不思議なもの。伝えるべきと思う人もいれば、言わない方がいいという人もいる。どちらもそれぞれの考えと想いで言っているのだが、受け取る側にも価値観がある。

 私は隠されるより、言ってもらった方が有難かった。信じられない……そう思いつつ、どこかで薄々感じていたのかもしれない。

 最近デートもしてない。約束をしてもドタキャン続き。学校で会って話す以外の連絡なんて、友達より少なかった。

「ありがとう、二人とも。そろそろ私も慎吾とのことを考えなきゃって思ってたから……でもいざ聞くと、やっぱりショックが大きいな……」

 もっとラブラブな頃だったら、どうしてそんなことを言うのって取り乱したかもしれない。そうならなかったのは、私の中で諦めているんだろうと思う。

「二葉……! 何があっても私たちは二葉の味方だからね! いつでも相談してね!」
「うん、ありがとう」

 味方のはずなのにはどうして信じきれないのかな……私の心はだいぶ(すさ)んでいるみたい。
< 1 / 192 >

この作品をシェア

pagetop