客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

 暴走する三人を止めるように、京子は右手を前に出す。

「正確には十一歳上。半年前に離婚して、今は独身」

 それを聞いて、ようやく三人は落ち着いた。

「十一歳年上ってことは、今三十七? 離婚してたなんて知らなかった」
「うん、冨永課長も秘密にしてるみたいだから」
「じゃあなんで京子は知ってるの?」
「……前に残業になった時、奥様に連絡しなくて大丈夫ですか?って聞いたら、実は……って教えてくれた」
「なるほど。で、いつ頃から気になってるの?」

 京子は恥ずかしそうに片手を頬に当てる。

「最近仕事が忙しくて残業続きなんだよね。冨永課長、みんなが帰ってからも残って仕事をしていたりして。私は帰るのが申し訳なくて一緒に残ったりすんだけど、帰る時にする他愛もない話が楽しかったりしてね。なんか気付くと目で追ってたりするんだ……」
「あらま、恋ですね」
「うんうん、紛れもなく恋だわ」
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