客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
二葉の頑なな想いを察し、匠はため息をつく。
「……考えは変わらないの?」
「うん、ずっと考えて出した結論だから」
「……頑固二葉」
「そうなの。よく覚えてたね」
二葉が言うと、匠は降参するように両手を上げる。
「ただ約束して。いつどこで会うかを報告すること、なるべく大勢の人がいるところで会うこと、音声データを残すこと」
「音声も?」
「音声も」
「わかった。約束する」
二葉は大きく頷くと、匠の頬にキスをする。
「……はぁ。不安しかないのに……惚れた弱みだよなぁ」
「そんな匠さんが大好きよ」
すると二葉の体は彼の腕に抱きしめられる。
「……もっと言って」
「匠さんが好き」
「もっと……」
「愛してる」
「うん……」
「匠さんがいれば、それだけで幸せよ」
匠は大きなため息をついたかと思うと、二葉をソファに押し倒す。
「この間は次の日が仕事だったからお預けだったけど、今日は俺が満足するまで寝かさないから」
甘い言葉とは裏腹に、苦しげな表情をしていた。
その言葉を聞いて、二葉は匠の首に腕を回してキスをする。ごめんなさい、頑固者で。
きっと不安でいっぱいだよね。なのに私の意見を尊重してくれることに、申し訳なさと感謝を感じる。
「臨むところですよ」
本当になんて優しい人なのかしら……。
匠の愛情をたっぷりと感じながら、二葉はゆっくりと目を閉じた。