客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 二葉はあの日と同じホテルのラウンジにいた。アイスコーヒーを飲みながら、真梨子の到着を待つ。

 三日前、二葉は真梨子の携帯に電話をした。匠に聞かなくても、着信のお知らせを見た時の記憶がしっかりと残っていた。

 知らない番号からの着信に真梨子が出るかは賭けだった。しかし彼女は出た。

『もしもし』
「……突然すみません。先日副島匠さんのことでお話しさせていただいた者です」
『……何か御用?』
「……あなたともう一度話がしたいと思って連絡しました」
『話すことなんかないわ。迷惑よ』
「あのっ! 迷惑なのは重々承知しています! ただ……匠さんのことではなくて、あなたと話がしたいんです……」
『意味がわからないんだけど』
「お、女同士の話がしたいんです。い、いわゆる女子トークです!」
『……なんで私なの? 友達とでもしたら?』
「だ、だから! あなたとしたいんです!」
『……わかったわ。三日後、この間のホテルのラウンジでいいかしら?』
「もちろんです! ありがとうございます!」

 電話を切った後、匠にも連絡をした。彼は『わかった』とだけ言った。
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