客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
二葉と真梨子が約束をした時間から三十分ほどしてから、匠はホテルに到着した。仕事を上手く切り上げることが出来ず、この時間になってしまった。
匠は二人にバレないよう、影からこっそり様子を見るつもりだった。
しかしラウンジの中を見渡しても、二人の姿がない。匠は急に不安になり、ラウンジの店員に声をかける。
「あのっ……三十分くらい前に、女性二人が来店しませんでしたか?」
店員は困ったように首を横に振る。
「申し訳ありません。そのようなお客様ばかりで……」
「そう……ですよね。すみません」
肩を落としてロビーのソファに座る。連絡をして、もし二葉の身に何かあったらと思うと、怖くて出来ない。
その時、匠に駆け寄る黒い影が視界に入る。
「匠様」
「あぁ……森本さん」
森本と呼ばれた男性は、胸に副支配人と書かれたバッジを付けていた。彼は匠のそばに駆け寄る。
「お探しのお二人ですが、上のバーに行かれたようです」
匠は驚いて目を見開いた。
「失礼ながら、先日の様子を拝見しておりまして……」
「……このこと、兄貴は知ってる?」
「お耳に入っているかと……」
匠は項垂れた。でも今はそれどころではない。立ち上がるとエレベーターに向かう。
「ありがとう、森本さん」
「いえいえ、お気をつけて」
エレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押す。
何事も起きていませんように……祈るような気持ちで到着を待つ。はやる気持ちを抑えられず、ドアが開くと同時に匠は外へ飛び出した。
匠は二人にバレないよう、影からこっそり様子を見るつもりだった。
しかしラウンジの中を見渡しても、二人の姿がない。匠は急に不安になり、ラウンジの店員に声をかける。
「あのっ……三十分くらい前に、女性二人が来店しませんでしたか?」
店員は困ったように首を横に振る。
「申し訳ありません。そのようなお客様ばかりで……」
「そう……ですよね。すみません」
肩を落としてロビーのソファに座る。連絡をして、もし二葉の身に何かあったらと思うと、怖くて出来ない。
その時、匠に駆け寄る黒い影が視界に入る。
「匠様」
「あぁ……森本さん」
森本と呼ばれた男性は、胸に副支配人と書かれたバッジを付けていた。彼は匠のそばに駆け寄る。
「お探しのお二人ですが、上のバーに行かれたようです」
匠は驚いて目を見開いた。
「失礼ながら、先日の様子を拝見しておりまして……」
「……このこと、兄貴は知ってる?」
「お耳に入っているかと……」
匠は項垂れた。でも今はそれどころではない。立ち上がるとエレベーターに向かう。
「ありがとう、森本さん」
「いえいえ、お気をつけて」
エレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押す。
何事も起きていませんように……祈るような気持ちで到着を待つ。はやる気持ちを抑えられず、ドアが開くと同時に匠は外へ飛び出した。