客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
「ねぇ彩花ってどういう人がいいの? なんかちゃんと聞いたことないかも」
「うーん、あんまり考えたことないかな。ほら、好きになった人がタイプみたいな感じ?」
「じゃあ好きになった人の共通点は?」
「……場を仕切ったり、盛り上げたりする人は最初から好印象を持つかも。でもそういう人は私みたいなのはタイプじゃないみたいなの。だから一方通行で終わることばっかり」
「じゃあ前に付き合った人は?」
「そうだな……優しい人だったよ。穏やかで、喧嘩とかもしたことなかったし。わがまま聞いてくれて、私が喜ぶようなこともしてくれてさ。与えられる喜びに満足してたのかなぁ」
ただその顔には、少しの不満も見られる。三人は彩花の言葉の続きを待った。
「……その関係が疲れちゃったのは事実かも。私は何かしようって思えない、相手は何かしなきゃいけないみたいなね」
「彩花は対等になりたかったのかもね。お互い同じくらい好き〜みたいな」
「……それってどうやって見つけるの?」
「知らないよ。なんかビビビってくるんじゃないの?」
「……きたことないよ、そんなの。ねぇ、二葉は副島さんにビビビってきたんでしょ? どんな感じ?」
いきなり振られた二葉は驚きながらも、匠との出会いを思い返す。
「私は匠さんの仕草全てが好みだったんだよねぇ。あっ、お寺の参拝姿勢の話だけど。話してみたいって思ったから声をかけちゃった」
「確かに趣味が同じだとときめきやすいのかもね。こういう人がいいっていうのが明確に表れるじゃない?」
「二葉も彩花も自分からいくタイプだけど、彩花は意外とグイグイ来られる方がいいのかもしれないよ。今までと逆を行ってみるとか」
「確かに。よく小説とかに出てくる強引溺愛系とか彩花に合いそう」
「……現実にいるかしら、そういう人……。まぁでも確かに一理あるかもしれない」