客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
水潜寺を後にし、ホテルに向かうと思っていた二葉は、車が駅のロータリーに停まったので驚いて匠を見つめた。
「ま、まさかここから一人で帰れと……?」
「ち、違う違う! 何も言わずに連れて来ちゃってごめん……! ただ二葉に伝えたいことがあって……」
「伝えたいこと?」
匠はハザードランプを付けたままエンジンを切ると、下を向いて助手席の二葉の手を握る。その表情はどこか不安そうで、心配になった二葉は彼の手に自分の手を添えた。
「六年前……ここで二葉と別れたよね。キスをしてから、二葉は車を飛び出したんだ」
「うん……」
あの時の二人は、お互いの傷を癒すための関係だった。だからこそキレイな記憶のまま終わらせるのが一番だと思っていた。だってもし続けたとして、この日以上に愛しあえるかはわからなかったから。
「ま、まさかここから一人で帰れと……?」
「ち、違う違う! 何も言わずに連れて来ちゃってごめん……! ただ二葉に伝えたいことがあって……」
「伝えたいこと?」
匠はハザードランプを付けたままエンジンを切ると、下を向いて助手席の二葉の手を握る。その表情はどこか不安そうで、心配になった二葉は彼の手に自分の手を添えた。
「六年前……ここで二葉と別れたよね。キスをしてから、二葉は車を飛び出したんだ」
「うん……」
あの時の二人は、お互いの傷を癒すための関係だった。だからこそキレイな記憶のまま終わらせるのが一番だと思っていた。だってもし続けたとして、この日以上に愛しあえるかはわからなかったから。