客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 ホテルのエレベーターには他の宿泊客が同乗していたため、二人は衝動をじっと我慢した。その人たちが降りた途端、何度も唇を重ねる。

 エレベーターを降りて部屋に向かうまでの時間すら惜しい。部屋に入るなり再びキスを繰り返し、そのままベッドに倒れ込む。

 言葉はいらなかった。愛し合うことに夢中になり、お互いの熱にだけ集中する。

 部屋の中は、二人の息遣いだけが響いていた。

 彼に暴かれていくことがこんなにも気持ちがいい……。彼の指、唇、瞳、全てから愛されている歓びを感じる。

 昨日とはまた違う。なんだか愛が溢れてるよう。

 匠が二葉の中へと入り込むと、二人は思わず笑顔になる。

「二葉のことがずっと好きだった……愛してるよ……」
「私も大好きよ……」

 その夜、二人は果てても果てても、何度も激しく愛し合った。
< 149 / 192 >

この作品をシェア

pagetop