客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
理不尽な言い分
 匠は肩を落として、二葉の隣に立った。

 バレないように気をつけたつもりだったのに、壁にへばりついた瞬間、真梨子と目が合ってしまった。

「ごめん……二葉……バレないように隠れてたつもりだったんだけど……」
「あはは、まぁ……ちょっと隠れきれてなかったかもねぇ」
「あなたあれで隠れたつもり? 甘いわね。まぁとりあえず座ったら?」

 真梨子に追い打ちをかけられ、申し訳なさそうに二葉の隣に座る。その背中を二葉は優しく撫でる。

「仕事は?」
「大丈夫。ちゃんと終わらせてから来たよ」
「そっか。お疲れ様」

 行くと言っていたものの、もし来たことを咎められたらと思っていた匠は、二葉に微笑みかけられホッとした。
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