客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
兄の行動の真意が掴めず、匠の頭は混乱し始める。しかし二葉の声で現実に引き戻された。
「……行かせません」
そうだ、それどころじゃない。匠は二人の間に入ろうとしたが、二葉の言葉で躊躇した。
「あなたは勝手です。真梨子さんの気持ちを理解しようともしないで、自分の意見を押し付けてる」
晃が怯むのがわかった。二葉の言葉にダメージを受けたように見える。
「そ、そんなことはない。私たちはちゃんと話し合って……」
「話し合って、なんですか? 真梨子さんの願いを聞き入れもしない、受け入れもしない、ただ自分のワガママに真梨子さんを巻き込んでいるだけにしか見えません」
「君には関係のないことだろう⁈ 何も知らないくせに口を出すんじゃない!」
二葉の言葉は核心をついているのだろう。匠はいざとなれば止める覚悟で、二人を見守る。