客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
「夫婦って、二人で家庭を築いていくんじゃないんですか? あなたの話を聞いてると、あなたの敷いたレールに真梨子さんを乗せているだけ。どこかに立ち寄ることさえ許されない。窓から見える景色すら限定されてしまう。そんな息の詰まるような電車、私なら降りるわ」
「息が詰まるだと……?」
晃の怒ったような表情に、二葉は怯みそうになる。でもまだ終わりじゃない。気持ちを奮い立たせ、負けないように晃を見る。
「どうして二人で話し合って、一緒に行き先を決めないんですか? お互いの行きたい場所にどちらも行って、新しい景色に二人で感動する……。新しい思い出が出来て、古い思い出を振り返って笑い合う。それが夫婦なんじゃないんですか?」
言い切った二葉は、大きく息を吸って吐いた。息が苦しくて、眩暈がする。自分が言った言葉が正しいのかはわからない。でも真梨子さんを放っておきたくなかった。