客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
エレベーターが最上階に到着すると、チャペルに向かって真っ白な廊下が真っ直ぐ伸びている。
匠に手を引かれ、二葉は少し緊張した様子で進んでいく。
チャペルへの白い扉が開かれているのが見え、中の景色を見た二葉は目を見開いた。
「わぁ……素敵……!」
バージンロードに立った二葉は、思わず感嘆の声を漏らす。祭壇奥はすべてガラス張りになっており、その向こう側全体に青空が広がっていた。
歩き出そうとし、一度立ち止まる。そして不安そうに匠の方を見た。
「ここって入っていいの?」
「もちろん。今は俺たち二人の貸切だしね」
二葉は嬉しそうに祭壇の方へと歩き始めた。だが途中で違和感を感じて足を止める。
おかしい……イベントの準備をしてるって言っていたのに、それらしい様子が何も見当たらなかったのだ。
飾りも花もないし、マイクやライトなどの機材もない。ましてや人がいた気配すらもなかった。
「ねぇ匠さん……」
不安そうに振り返った二葉は、驚きのあまり言葉を失った。なんと匠が花束を持って立っていたのだ。