客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

 先ほどまでの様子が嘘のように静けさに包まれる。

 匠はにっこり笑うと、二葉の額にそっとキスをした。

「今日ここにお泊まりだって」
「でもお泊まりのグッズ、何もない……」
「なるほど。そういうオプションを付けるといいかもね」
「確かに……って、そうじゃなくて、私の荷物を取りに……ん……」

 突然匠に唇を塞がれる。

「近くのお店に買いに行こう。取りに行く時間が勿体無い」
「うん……わかった……ただ一つお願いがあるの……」

 二葉は匠の顔を見上げる。この素敵な場所と、この大切な時間を、生涯忘れられないものにしたいの。

「もう一度キスして欲しい……誓いのキスみたいに……」

 匠は目を細め、愛おしそうに二葉の頬を撫でる。

 そして顎に指を添え、
「愛してるよ、二葉……」
そう言ってキスをした。
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