客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
* * * *

 三十一番札所の観音寺の約三百段の石段を登り、下りる頃には二人の足はガクガクになっていた。

「この過酷さを忘れていた……」
「俺は登る前に思い出して、急に息苦しくなったよ」

 二人は車に戻ると、飲み物を飲んでから一休みする。二葉は匠の顔を横目でちらっと見る。

 もっと長く一緒にいたいなぁ……。

 札所もあと三か所。二葉の中でカウントダウンが始まる。
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