客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
二葉が手を上げないので、彩花から指名が入る。
「私に聞かないでよ〜! ちゃんとした付き合いをしたことないんだもん」
「まぁ確かに……でももし今副島さんが付き合ってって言ってきたら、二葉ちゃんは付き合うの?」
二葉は頭に匠の姿を思い浮かべて、恥ずかしくなる。
「……たぶん付き合う」
「それはどうして?」
「……秩父で過ごした三日間が楽しかったし、趣味も体の相性も良くて……でもちゃんと彼を知らないから、今までの男みたいに騙されてないか心配になるけど……。それでも、美玲が言っていたみたいに試しに付き合ってみたいな。だってあの三日間は、お互い弱っていたとはいえ、私にとっては忘れられない時間になってるのは否めないの。だから勝手に作り上げた幻想を打ち砕くために付き合ってみる。もしかしたら、思っていたのと全然違うかもしれないじゃない」
「それって良い意味? 悪い意味?」
「どっちも……と言いたいところだけど、悪い意味の方が大きいかな」
「あぁ、それちょっとわかるかも。好きな人の場合、悪い所も良く見えるけど、そうじゃない場合、悪い所しか目につかなかったりしない? まぁそれで嫌になることも多々あるけど」
すると京子が手を叩く。
「よく考えれば二葉も三日だよね。やっぱりデート三回すれば、ある程度はわかると思うのよ。一回目は緊張して気を遣って、二回目は少し緊張も解けて本性もちょっと見えて、三回目で安心しきって気を抜いて本性が出る」
「なるほど……」
「それにしても、二葉が忘れられないくらい良い男だったのねぇ……副島さんって」