客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

「あっ、今日はお気に入りのカボチャとクリームチーズのサラダがある!」
「この豆苗にハマったんだよねぇ。作り方が知りたいくらい」
「メインはチキンのハニーマスタードソース! 今日は当たりだわ」

 全員違う物を口に含み、うっとりと目を閉じる。

「まぁ恋愛もこういうことだよねぇ。それぞれ好きなポイントが違うわけじゃない? その彼の中には、彩花の好きなハニーマスタード的な要素がなかったのねぇ」
「でももしかしたら豆苗っぽいのはあったかもしれないし」
「きっとそのうち現れるよ、彩花がキュンとくるようなハニーマスタードくんが」
「……例えが微妙だけどね。あーあ、売ってるお弁当みたいに、中身がわかればこんなに悩まないのになぁ」
「でも中身がわからなくて、少しずつ知っていくから楽しいんじゃないかな。新しい発見とか、恋愛の醍醐味じゃない?」
「そう言われると、確かにそうかも」

 二葉は大好きなオリーブのマリネを口にする。甘酸っぱくて、少し苦みもある。匠さんってこんな感じかも……そう思いながら、つい口元が緩んでしまう。
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