客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜

 二葉は美玲の肩を叩きながら口を開く。

「ねぇ、その人ってどんな人?」
「うーん……そんなにおしゃべりじゃないし、表情も読みにくい。すごく真面目で、さりげなく優しくて……でもさ、せっかく二人で過ごした後なのに、ピロートークとかないと不安にならない? この人、何考えてるのかなとか」
「それはわかる。でも案外、経験人数が少ないのかもよ。おしゃべりな男って遊び慣れた感じしない?」
「するする! だってネットに書いてあったよ。セックスの上手い男の特徴って。気が利く、会話が上手、手先が器用。まぁ気持ちいいのは一番だけど、一人の女で満足出来なさそう」
「そう言われると……確かに慣れた感じはしないかも……」
「ちなみにだけど、どちらから誘うの?」
「向こうからかな。さすがに女からは言えなくない?」
「ホテルに行こうって?」
「いや、食事に行こうって。その後は彼の部屋がほとんどかな」

 美玲は肩を落とし、小さなため息も漏れる。

「いつ頃からそういう関係になったの?」
「三ヶ月くらい前。なんか流れでつい……」
「美玲はその人のこと、どう思ってるの?」
「……一緒にいると楽しい。でもわたしだけ楽しくてもねぇ……相手がどう思っているかわからないし」
「まぁ一人じゃ恋愛は出来ないしね」
「美玲ちゃん、なんだかんだその人のことが好きなのねぇ」
「……わかんないけど、こういう曖昧な関係はズルズルしない方がいいとは思ってる。みんなが私の立場ならどうする?」

 三人はそれぞれ頭を抱えて悩み始めた。
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