客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
 京子が手を挙げる。

「話を聞いてる限り、真面目な感じの人なのかなぁと思うから、まずは関係性をはっきりさせた方がいいと思う。付き合ってるのか、付き合おうとしているのか、セフレなのか。きっと答えをくれるんじゃないかな。じゃないとこれから先もズルズルしちゃうよ」
「……何回か聞こうとしたんだけど、なんか口に出せなかったんだよね。どうしたらそんなふうにストレートに言えるのか……」
「食事も終わりかけくらいの時に切り出すしかないよね。だって食べ始めは嫌だし、途中も気まずいし」
「終わりかけ……どうやって切り出すの?」
「例えば、聞きたいことがあるの〜みたいな。まずその一言が言えれば、もう言うしかないみたいな雰囲気にならない?」
「確かに……。あぁっ! でも言えるかなぁ⁈」

 彩花が手を挙げる。

「さっき、ホテルじゃなくて家に誘われるって言ってたよね」
「一回目は成り行きだからホテルだったけど、それ以降はずっと彼の家だね」
「これもネット情報なんだけど、男の人が家に誘う理由がいくつかあるんだって。まず体目的、まぁこれはね。あとお金がないっていうのもあるけど、食事に行ってるしね。そしてあともう一つ。彼女を信頼してるから、或いは信頼関係を築きたいからなんだって」

 その言葉に美玲は驚いたように固まる。

「誰だって自分のテリトリーに他人を入れるのって嫌じゃない? でもそこに踏み込ませてもいい相手ってこと。その人真面目そうだし、なんかこの説もあり得るかなって」
「なるほど……」

 二葉はみんなの話を聞きながら、ただ頷くだけだった。私も匠さんにお家に呼ばれたら、信頼されてるってことなのかな。まだ先の未来を想像しては、にやけてしまう。
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