客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
木之下の名前が出た途端、美玲は驚いてグラスを倒しそうになる。その反応を見て、全員があることに気付いた。
「まさかの木之下さん⁈」
「あの堅物人間が美玲の彼氏になったの⁈」
「ふ、二人とも!」
「大丈夫だよ、言われ慣れてるし。私もそう思ってる」
美玲は笑顔でサラッと言う。
「でもいいの。彼の魅力は私だけが知っていればいいし、ライバルがいなければ安心だし」
すっかり恋する顔になった美玲を見て、三人はどこかホッとした。
「ねぇねぇ、どうやって切り出したの?」
「私から彼を呼び出した」
「木之下さん、どんな反応してた?」
「驚いてた。告白の後に謝られたからフラれると思ったら、何も言わなかったことへの謝罪だったの。その後にちゃんと告白してくれたし」
「それなら何が良くなかったの?」
美玲は真面目な顔になり、眉をひそめる。
「……調べたら、女からの告白は上手くいく確率が高いけど、破局する確率も高いって書いてあったから……」
「なんかみんな調べるの好きよね。まぁ男は生まれながらの狩猟民族だから、狙った獲物を落とした方が長続きするとかは聞いたことあるけど」
「でしょ? だからなんか今から不安もあって……。しかもいい女は、相手に告白させるように仕向けるって」
「そんなことが簡単に出来る女の方が怖い気もするけど」
「それに木之下さんだって告白しようとしてたんでしょ? なら大丈夫な気もするけどねぇ。狩猟の計画は立てても、実行するまでに時間がかかるタイプなんだよ」
「……そうかなぁ」
まだ自信のなさそうな美玲に、二葉も口を開く。