客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
二人はシャワーを浴びてから、ソファへ戻ると食事を再開した。だいぶ時間が空いたこともあり、二人は空腹のピークだった。
二葉は部屋着を持参していたが、匠からの要望で彼のワイシャツを着せられる。明らかに丈の短いシャツに、二葉は足元がスースーして落ち着かない。しかし匠はその姿が可愛いくてずっと笑顔で二葉を眺めている。
「いいね、彼シャツ姿の二葉。そそられる」
「……それはどうも」
二葉は太腿に伸びてきた匠の手ピシッとを止めて、彼の口にブロッコリーのサラダを突っ込む。
「美味しい?」
楽しそうに笑う二葉に、匠も同じようにキッシュを食べさせる。すると二葉の目が輝く。
「あっ、このキッシュ美味しい!」
「でしょ? 俺のお気に入り」
なんて穏やかに時間だろう。初めて会った日には、こんな二人の姿は想像出来なかった。まだ若かったし、偶然知り会って体の関係を持ったけど、たった三日しか一緒にいなかったような相手なのに、自分でもびっくりするくらい夢中になった。
今まで出会った誰よりも隣にいることがしっくりきたんだ。会話も、笑顔も、もちろん体も。
でも二葉はその関係を続けようとはしなかった。一時の感情に流されずに、すっぱりと別れを選んだ。お互いにあんなに惹かれあってたのに、この感情は偽物であると言った。
それを聞いてハッとした。俺は曖昧な感情に流されて先生と関係を持ったんだ。昔好きだった先生、今も好きに決まってる……。だけど何年も経つのに、同じ感情でいるわけがない。ましてや相手は結婚しているのだから。
だからあの後、先生には『もう会わない』と伝えた。すると先生は『わかった』とあっさりと言った。ただ最後にこう付け加えて。
『あなたは私を忘れられない。いつかまた会いましょう』
ゾッとした。また会うってどういうことだ? 日本にいる間はその怖さがあったが、仕事でイギリスにいる間は伸び伸び過ごせた。
二葉は部屋着を持参していたが、匠からの要望で彼のワイシャツを着せられる。明らかに丈の短いシャツに、二葉は足元がスースーして落ち着かない。しかし匠はその姿が可愛いくてずっと笑顔で二葉を眺めている。
「いいね、彼シャツ姿の二葉。そそられる」
「……それはどうも」
二葉は太腿に伸びてきた匠の手ピシッとを止めて、彼の口にブロッコリーのサラダを突っ込む。
「美味しい?」
楽しそうに笑う二葉に、匠も同じようにキッシュを食べさせる。すると二葉の目が輝く。
「あっ、このキッシュ美味しい!」
「でしょ? 俺のお気に入り」
なんて穏やかに時間だろう。初めて会った日には、こんな二人の姿は想像出来なかった。まだ若かったし、偶然知り会って体の関係を持ったけど、たった三日しか一緒にいなかったような相手なのに、自分でもびっくりするくらい夢中になった。
今まで出会った誰よりも隣にいることがしっくりきたんだ。会話も、笑顔も、もちろん体も。
でも二葉はその関係を続けようとはしなかった。一時の感情に流されずに、すっぱりと別れを選んだ。お互いにあんなに惹かれあってたのに、この感情は偽物であると言った。
それを聞いてハッとした。俺は曖昧な感情に流されて先生と関係を持ったんだ。昔好きだった先生、今も好きに決まってる……。だけど何年も経つのに、同じ感情でいるわけがない。ましてや相手は結婚しているのだから。
だからあの後、先生には『もう会わない』と伝えた。すると先生は『わかった』とあっさりと言った。ただ最後にこう付け加えて。
『あなたは私を忘れられない。いつかまた会いましょう』
ゾッとした。また会うってどういうことだ? 日本にいる間はその怖さがあったが、仕事でイギリスにいる間は伸び伸び過ごせた。