客観的恋愛曖昧論〜旅先の出会いは、運命の出会いでした〜
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仕事が一区切りつき、匠をちらっと見る。すると彼は後輩の和田と仕事に取り組み、終わる気配がなかった。
週末はきっと匠さんの部屋で過ごすだろうし、今日は早めに帰って家のことをしようかな。
荷物をまとめてエレベーターを待っていると、美玲と木之下がやってくる。
「お疲れ様」
「お疲れ様です」
エレベーターに乗り込み、三人だけになると、二葉はついニヤッと笑ってしまった。それに気付いた美玲が恥ずかしそうに顔をしかめる。
「いいなぁ……デートですか?」
二人はギョッとして、急に挙動不審になる。
「あっ……いやっ……その……」
普段堅物の木之下があれほどまでに慌てる姿を見ることがないため、二葉は得した気分になる。
「楽しんできてくださいね。じゃあまた明日」
エレベーターが一階に着くなり、二葉はお辞儀をしてその場を去る。
二人はどんな顔をしているかしら。大好きな二人が上手くいくことはすごく嬉しい。