離れた距離が近づける想い
明日から夏休み。

学内は、みんな浮かれムードだ。

でも、私は……

里穂(りほ)ちゃん、いつ帰るの?」

私にそう尋ねるのは、私が密かに想いを寄せる同級生の藤井 慎也(ふじい しんや)くん。

同じ学部で同じサークル。

いつの間にか仲良くなって、いつも一緒にいるけど、だから、この関係を壊したくなくて、私は何も言えずにいる。

「明日」

大学の近くのアパートで一人暮らしをしている私は、明日から実家に帰省する。

「慎也くんは、まだ帰らないんでしょ?」

慎也くんも、その近くのアパートで一人暮らしをしている。

「ああ、バイトがあるからな。お盆に1週間だけ帰るよ」

男の子だと両親もうるさくないのかな?

うちは、うるさいくらいに帰ってこいって言うけど。

「じゃあ、1ヶ月以上会えないね」

私は、さらっと口にするけど、とても寂しい。

夏休み、一緒に海とか花火とか行きたかったな。

「ああ、そう……だな」

慎也くんも、寂しいと思ってくれてる?

そうだったら、嬉しいな。

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