離れた距離が近づける想い
翌日、生まれて初めての二日酔いで目覚めた私は、SNSを見て、愕然とした。

赤い顔で元カレの肩に頭を寄りかからせて写真に写る私は、ご機嫌で満面の笑みを浮かべている。

元カレもご機嫌で私の肩に手を回している。

これは、高校時代の私たちを知ってる友人たちが騒ぐのも無理はない。

これ、どうしよう?

こんなの、慎也が見たら、絶対誤解するよ。

こんなにコメントもいいねも付いてる投稿を、今さら削除するのも、何かよくない噂になりそうで怖い。

と、思っていたら、目の前でいいねが付いた。慎也から。

これ、どういうこと?

慎也は、私が元カレとこんな風にしてても、いいねって言えるくらい、私のことなんてどうでもいいと思ってる?

私は、一気に落ち込んで、スマホの画面を閉じた。

やっぱり、好きなのは、私だけなんだ。

誰よりも慎也と仲良しだと思ってたけど、それはあくまでも、友人として。

女としては、全く見られてない。

そんなこと、分かってたけど、改めて自分でその事実を受け入れるのは、やっぱり辛い。

慎也に会いたい。

片思いでもいいから、慎也としゃべりたい。



その夜、私は、両親に告げた。

「私、明日、大学に戻るね」

「えっ? なんで!?」

父が、驚いたように声を上げる。

「出し忘れてたレポートがあって、これを出さないと単位がもらえないのよ。留年するわけにはいかないから」

「そんなの、郵送すればいいだろ。わざわざ帰らなくても……」

父がそう言うだろうということは、分かっていた。

「ダメなの。レポートも添付する資料も向こうのアパートにあるから。

両親を説き伏せた私は、翌日、新幹線に乗った。

慎也に会いたい。

ただそれだけのために。
< 5 / 9 >

この作品をシェア

pagetop