だから今度は、私がきみを救う番
階段を昇り、二階の教室へと向かって歩く。
お父さんとの会話はない。
だって、何を話せばいいか分からないから。
教室に近づくと、ちょうど前の人が終わって出てくるところだった。
お母さん……にしては高齢で、おばあちゃんにしては若く見える女性。
その人の後に続いて、見慣れた金色の髪がひょこっと顔を覗かせた。
「原くん」
会えると思っていなかったから、びっくりして思わず声が出てしまう。
目が合うと、原くんは「おう」と右手を上げた。
「面談、私の前だったんだ」
「みたいだな」
原くんはそう言ったあとで、視線を私の隣に移した。
お父さんの方を見て、「こんにちは」と頭を下げる。
お父さんはいきなり金髪少年に挨拶されてびっくりしたみたいで、「こんにちは」とうわずいた声で挨拶をした。
私も原くんのおばあさん(だよね?)に向けて、「こんにちは」と頭を下げる。
原くんのおばあさん(たぶん)は、若々しい声で「こんにちは」と返してくれた。
「じゃ、またね」
「おう」
短くそれだけ交わして、原くんとおばあさんは帰っていく。
私とお父さんは、先生たちの待っている教室へと入った。