だから今度は、私がきみを救う番
私はぎゅっと拳を握りしめて、下を向いた。



「私はあさがおがいい」



それだけ言って、口の端をきゅっと結ぶ。

お父さんは不満そうな顔をして、ふうっと溜息をついた。



私はあさがお学級がいい。

何なら五教科以外も、ぜんぶあさがお学級で受けたい。

友達なんかいらないし、期待するだけ寂しい気持ちになるだけ。

あさがお学級じゃないなら、学校になんか行かなくたっていい。



「次に成績についてお話ししましょうか」



私とお父さんのギスギスした雰囲気を見て察したのか、山中先生が切り替えるようにそう言う。

そのあとは成績の話をしばらくした後、二学期の修学旅行の予定なんかの説明があって、面談は終わった。



帰りも黙ったまんま、お父さんと歩いて帰った。

テニスコートの方は見ないようにして、部活の声を耳に入れないようにして。

原くんと見た花火のことを思い出しながら帰った。


お父さんが「ファミレス寄ってくか?」と聞いたけど、無言で首を横に振って断った。



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