だから今度は、私がきみを救う番
彼が自分から家庭のことを話さないのは、きっと話したくないからで。
話したくないなら、無理に聞き出すわけにはいかないんだけど。
でも、彼が教えてくれるというのなら、私は知りたい。
彼のことが、好きだから。
「原くんが抱えてるものがあるなら、私は知りたい」
震える声でそう伝えて、原くんの瞳をじっと見る。
すると原くんはふふっと笑って、口を開いた。
「……なんてね。いるよ、両親。ただ忙しくってさ。面談に来られなかったの」
原くんが、冷たい瞳のままそう言う。
ぴゅうっと風の吹く音が聞こえて、一瞬静まり返った。
「……それだけ?」
「うん。それだけ」