だから今度は、私がきみを救う番
そんなことを考えていると、唇が離れて、至近距離で目が合った。

じっと見つめられて、沈黙が続く。



どん。



その瞬間、視界がひっくり返った。



目の前に原くんの顔があって、その向こうに天井の木目が見える。

原くんの腕が、私の身体の横に伸びていて、身動きがとれなかった。



押し倒されている、と理解するのに、十秒もかからなかったと思う。



「……原く……んっ」



名前を呼んでる途中に唇が降ってきて、塞がれる。

強引なくちづけに、声を出すこともできない。

原くんは何十秒もキスを繰り返して、はっと我に返ったような瞳になった。



「……ごめん」

「原くん……?」

「襲わないから、こうさせて」


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